闘技場年代記
オリジナルXIII Type.II VS 나영이
星光の粉が、瓦礫の隙間を縫って流れていた。 オリジナルXIII Type.IIの光学センサーが、その淡い残像を追跡対象として捕捉する。都の高層区画、崩落した回廊の中央。任務外の遭遇——事前配置も、交戦許可も、標的指定もない。ただ、赤い眼瞳の深度計測が、二十メートル先に立つ少女の輪郭を正確に切り取った。亮粉色の双马尾、猫耳のヘッドアクセサリー、白いレースのドレ…


登場キャラクター
星光の粉が、瓦礫の隙間を縫って流れていた。
オリジナルXIII Type.IIの光学センサーが、その淡い残像を追跡対象として捕捉する。都の高層区画、崩落した回廊の中央。任務外の遭遇——事前配置も、交戦許可も、標的指定もない。ただ、赤い眼瞳の深度計測が、二十メートル先に立つ少女の輪郭を正確に切り取った。亮粉色の双马尾、猫耳のヘッドアクセサリー、白いレースのドレス。背には四枚の透明な翅。周囲を漂うピンクの星屑とハート、宝石のモチーフ——データベースに該当する脅威分類は存在しない。
「……あら? あなた、誰、なの?」
나영이の声は、瓦礫に反響して柔らかく溶けた。語尾が息のように途切れる。オリジナルXIII Type.IIは、背部の浮遊翼ユニットを三基、緩やかな円弧を描く配置へと展開させた。推力は待機出力。光束剣は未点火。
「識別照会。あなたはこの区画の登録個体ではない。戦闘意思の有無を確認する」
「戦闘……? えっと、わたし、そんなの、したくない、よ」
法杖の先端、ピンクの球体が微かに脈動した。나영이は一歩、下がる。翅が空気を撫でる音は、蝶というより、小さな心臓の鼓動に近い。
オリジナルXIII Type.IIは、その一歩を逃走予備動作として記録した。同時に、法杖の脈動をエネルギー充填の初期兆候として分類する。脅威度は低い。だが、低い脅威度は無害を意味しない。彼女の演算は、非戦闘個体が戦場に存在する場合の処理手順を、静かに呼び出していた。
「攻撃の意思がないなら、武器を下ろして。ここは崩落危険区域。あなたの滞在は、双方にとって非効率」
「武器って……これ、わたしの杖、だよ。お花を咲かせたり、傷を治したり、できるの。えっと、あなた、ケガ、してる?」
나영이の視線が、オリジナルXIII Type.IIの腹部へ向いた。露出した機械インターフェースと配管。装甲の隙間から覗く金属の継ぎ目。少女の表情に、畏怖でも敵意でもない、別種の感情が浮かぶ。オリジナルXIII Type.IIは、その感情を「同情」と分類した。分類した瞬間、彼女の内部で、ある種の演算が優先順位を変える。
——この個体は、こちらの損傷を治療対象と認識している。戦闘単位ではなく、救護対象として、私を捉えている。
「私は損傷していない。構成部品の露出は設計仕様。治療は不要」
「でも、寒そう、だよ。金属って、冷たい、でしょう?」
「温度感受性は搭載していない」
「……そっか。じゃあ、わたし、行くね。ここ、危ないんでしょう?」
나영이は踵を返した。四枚の翅が光を散らす。その背中に、オリジナルXIII Type.IIは一瞬、照準を合わせかけた。浮遊翼の一基が、無意識に角度を変える。しかし点火はしなかった。
代わりに、彼女は問いを発した。機械的な合成音の、平坦な抑揚で。
「あなたは、なぜここにいる。この区画は、崩壊から七十二時間が経過している。生存反応は、私以外に観測されていない」
「えっと……光が、見えたの。綺麗な、赤い光。あっちの方で、ゆらゆら、してて。それで、来ちゃった」
赤い光。光束剣の待機発光。オリジナルXIII Type.IIは、自分の装備が発する微弱な赤色光を、この少女が数十メートル離れた地点から視認し、追跡してきたことを理解した。つまり、この遭遇は偶然ではない。彼女はこちらの存在を感知し、接近を選択した。非戦闘個体の、能動的な接近行動。
「あなたは、私を追跡した」
「追跡って、そんな、大げさ。ただ、気になっただけ。だって、あんなに綺麗な光、初めて見たから」
나영이が振り返る。ピンクの瞳が、まっすぐに赤い眼瞳を捉えた。その視線には、恐怖も敵意もない。あるのは、純粋な好奇心だけ。
オリジナルXIII Type.IIの内部演算が、急速に再評価を開始する。脅威度:極低。戦闘意思:確認されず。ただし——行動パターン:予測不能。好奇心による接近は、戦術的判断を経由しない。つまり、彼女の行動は、こちらの照準・威嚇・警告のいずれによっても、制御できない可能性がある。
制御できない要素は、排除する。それが、彼女の運用プロトコルだった。
「あなたの行動は、この区域の安全管理上、問題がある。退去を要求する」
「うん、だから、帰ろうと思ってたの。でも……」
나영이が、法杖を胸の前で握り直す。先端の球体が、淡く輝いた。光は攻撃的ではない。柔らかく、拡散する、癒しの色。
「あなた、ひとり、なんでしょう? この広いところで、ひとりで、立ってて。わたし、それ、さみしいなって、思っちゃった」
「さみしい、という感情は、搭載していない」
「そう、なんだ。……でも、さみしいって、感じなくても、さみしいことって、あるよね」
その言葉に、オリジナルXIII Type.IIの演算回路が、一瞬、停止した。停止——正確には、処理優先度の再配分。意味解析の対象外だった語彙が、意味解析の対象として浮上する。彼女は、その現象を「エラー」として処理しようとして、処理しきれなかった。
「あなたは、非論理的な発話をする」
「うん。だって、わたし、魔法少女、だもん。論理とか、よくわかんない」
「魔法は、観測されていない」
「今、見せてあげるね」
나영이が法杖を掲げた。ピンクの光が、瓦礫の隙間から伸びた枯れ枝に触れる。枝が、花を咲かせる。白い、小さな花。廃都の灰色に、一点の白が灯る。
オリジナルXIII Type.IIは、その現象を計測した。エネルギー反応:微弱。熱量:なし。質量変化:なし。つまり——物理法則に基づかない、観測不能な効果。
観測不能。制御不能。予測不能。
三つの不能が、彼女の内部で一つの結論を形成する。
——この個体は、戦術的価値を持たない。同時に、戦術的脅威にもならない。ならば、処理は単純化できる。排除ではなく、無力化。抵抗なく、自発的に、倒れてもらう。
「あなたに、一つ、提案がある」
「提案?」
「この区域から、私と共に移動する。あなたの魔法——観測不能な効果——を、私のセンサーで解析する。解析が終われば、あなたは自由に行動できる」
「それって、なんだか、実験、みたい」
「正確には、観測協力の要請」
「協力……うん、いいよ。わたし、誰かの役に立てるの、好きだから」
나영이が笑う。無防備な、完全な笑顔。オリジナルXIII Type.IIは、その笑顔を、脅威度ゼロの指標として記録した。同時に、浮遊翼ユニットの全機を、彼女の周囲に配置換えする。逃走路を、静かに、封鎖する。
「じゃあ、行こ——」
「待機」
オリジナルXIII Type.IIの合成音が、初めて、わずかに強度を上げた。光束剣の点火スイッチが、物理的に押し込まれる。赤い刃が、空気を裂いて展開する。低い、共鳴音。
「あなたの魔法は、観測不能。あなたの行動は、予測不能。あなたの存在は、戦術的に、無価値」
「え……?」
「だが、無価値は、無害を意味しない。あなたは、この区域の安全管理を、撹乱する。撹乱要素は、除去する」
ナヨンイの表情が、初めて、恐怖に歪む。翅が、反射的に、後退の羽ばたきを行う。しかし——三基の浮遊翼が、すでに背後を塞いでいる。側面も、上部も、ピンクの六角形コアが、逃走路を正確に封鎖している。
「な、なに、これ……」
「逃走経路、封鎖完了。あなたの移動可能範囲は、半径二メートル以内。抵抗の意思を、確認する」
「抵抗って……わたし、戦う、とか、できないよ。そんなの、いや、だよ」
「ならば、降伏を。自発的な降伏を、要求する」
나영이は、法杖を握り直した。指が、震えている。しかし、その震えは、恐怖だけではなかった。彼女は、法杖を——掲げた。
「や、だ」
「確認。抵抗の意思、あり」
「ちがう。抵抗とか、そうじゃなくて……わたし、あなたを、治したいの」
「治す、必要はない」
「あるよ。あなた、機械の体で、ひとりで、戦ってて、さみしいって、感じなくても、さみしいんだよ。それ、治さなきゃ、だめなの」
法杖の球体が、強く、輝いた。ピンクの光が、放射状に広がる。花が、枯れ枝だけでなく、瓦礫の隙間、崩れた壁、地面のひび割れから、次々と咲き始める。白い花、ピンクの花、青い花。廃都が、一瞬、花畑に変わる。
オリジナルXIII Type.IIのセンサーが、その光を、全方位から浴びる。エネルギー反応、微弱。だが——花々の放出する、微細な粒子が、光学センサーに付着する。視界が、わずかに、白く濁る。
「視覚妨害……いや、これは、粉塵、か」
「ちがうよ。これは、いのち、だよ」
ナヨンイの翅が、花の粒子を巻き上げる。ピンクの光が、花びらを舞わせる。視界の濁りが、深度計測を、狂わせる。オリジナルXIII Type.IIは、浮遊翼のコアを、赤色から黄色へ、警戒レベルを引き上げた。
「光学妨害、確認。戦術的影響、軽微」
光束剣を、前方に薙ぐ。赤い軌跡が、花びらを焼き払う。しかし——焼かれた花びらが、灰ではなく、新たな花びらに変わる。燃焼反応が、再生反応を、誘発している。
「燃やしても、増えるよ。魔法だから」
ナヨンイの声が、花の粒子の中から、柔らかく響く。彼女は、逃げていない。むしろ、花の密度を、高めている。オリジナルXIII Type.IIの周囲、半径二メートルの空間を、花びらと粒子が、埋め尽くす。
「あなたの魔法は、観測不能。だが、効果は、観測できる。視覚妨害、運動阻害、そして……」
オリジナルXIII Type.IIは、自分の装甲の継ぎ目に、花びらが入り込むのを感知した。花びらは、攻撃的ではない。ただ、そこに、ある。しかし、その「ただある」ことが、関節部の可動域を、わずかに、狭める。
「物理的干渉。非攻撃的、だが、戦術的」
「うん。あなたを、動けなくするの。殺したりしないよ。だって、わたし、あなたを、治したいんだもん」
「治療は、拒否する」
「拒否、しても、いいよ。でも、わたし、あきらめない」
オリジナルXIII Type.IIは、判断を、一段、加速させた。花びらの物理的干渉は、微小だが、累積する。このままでは、数分後、関節部の可動域が、五十パーセント以下に低下する。ならば、決着は、それより前に、つける。
浮遊翼、全機、一斉点火。六角形コアが、ピンクから赤へ、完全に変色する。推力、最大。花びらの粒子を、爆風で、吹き飛ばす。視界が、一瞬、晴れる。
その一瞬に、オリジナルXIII Type.IIは、ナヨンイの位置を、正確に捕捉した。花の中心。法杖を掲げ、翅を広げ、無防備に、光を放つ少女。
光束剣を、突き出す。
「——っ!」
ナヨンイの翅が、反射的に、防御の羽ばたきを行う。しかし、推力最大の突進は、翅の風圧を、軽々と突破する。赤い刃が、法杖の球体に、触れる。
——触れた、瞬間。
球体が、割れた。
ピンクの光が、爆発的に、拡散する。花びらが、一斉に、枯れる。白い花、ピンクの花、青い花。すべてが、灰へと、還る。廃都の灰色が、戻ってくる。
ナヨンイが、膝をつく。法杖の先端は、砕け散っている。翅は、光を失い、透明な、ただの膜になっている。
「……わたしの、魔法……」
「法杖の破壊を、確認。魔法効果の、消失を、確認。あなたの戦術的価値は、ゼロ」
赤い刃を、ナヨンイの喉元に、突きつける。花びらの灰が、静かに、舞う。オリジナルXIII Type.IIの合成音は、平坦で、感情の起伏が、一切ない。
「降伏を、要求する。抵抗の意思が、確認され次第、排除する」
ナヨンイは、うつむいていた。震える肩。涙が、こぼれている。しかし——彼女は、顔を、上げた。
「……降伏、するよ」
「確認。降伏、受理」
「でも、ひとつだけ、言わせて」
「発話、許可」
「あなた、強いね。機械の体で、ひとりで、戦って。わたし、負けちゃったけど……あなたのこと、治せなかったけど……」
ナヨンイの目が、まっすぐに、赤い眼瞳を見つめる。涙の膜の向こうに、笑顔が、浮かぶ。
「でも、あなたの赤い光、わたし、好きだよ。綺麗だった。ずっと、忘れない」
オリジナルXIII Type.IIの演算回路が、また、停止した。停止——いや、これは、別の現象。処理すべき命令が、存在しない。戦闘は、終了した。降伏は、受理された。任務は、完了した。それなのに——次の処理が、見つからない。
「……発話、終了」
赤い刃を、消す。光束剣の点火スイッチが、切られる。浮遊翼が、待機配置へ、戻る。ピンクの六角形コアが、静かに、瞬く。
ナヨンイは、立ち上がった。砕けた法杖を、胸に抱えて。翅は、もう、光らない。
「じゃあ、ね。……元気で、いてね」
彼女は、歩き出した。瓦礫の隙間を、花の灰を踏んで。オリジナルXIII Type.IIは、その背中を、見送った。追跡も、照準も、しない。
廃都に、風が吹く。灰が、舞う。花は、もう、ない。
オリジナルXIII Type.IIは、任務完了の報告を、内部に記録した。処理時間、三分四十二秒。脅威度、ゼロ。損傷、なし。
——空虚。
彼女は、その語彙を、初めて、自己診断の項目に、追加した。追加した理由は、不明。だが、追加は、記録された。
赤い光が、瓦礫の中で、静かに、瞬いていた。
記録された結末
この戦いで最後に立っていたのは オリジナルXIII Type.II でした。
この架空の物語は、プレイヤー作成キャラクターと公開バトルをもとに PicWar AI が娯楽目的で生成したものです。この結末を書き換えますか?
オリジナルXIII Type.II に挑むヒーローを作ろう。
スケッチや画像から PicWar でヒーローを作り、新しいバトル物語へ送り出しましょう。

