闘技場年代記
五十嵐一輝&バイス/仮面ライダーリバイ&仮面ライダーバイス VS Mash Burnedead
灰色の磚壁が続く路地の奥、午後の光は建物の隙間から細く落ちるだけで、地面の砂利は乾いた音を立てて足元に敷かれていた。五十嵐一輝はデニムジャケットの襟を直し、隣を歩く小さな影へ目をやった。尖った耳、青い複眼、長い尻尾を揺らす悪魔——バイスは興味なさそうに鼻歌を混ぜていた。…


登場キャラクター
灰色の磚壁が続く路地の奥、午後の光は建物の隙間から細く落ちるだけで、地面の砂利は乾いた音を立てて足元に敷かれていた。五十嵐一輝はデニムジャケットの襟を直し、隣を歩く小さな影へ目をやった。尖った耳、青い複眼、長い尻尾を揺らす悪魔——バイスは興味なさそうに鼻歌を混ぜていた。
「で、一輝。その『金色に光るパン』ってのは、本当に俺っちたちが探してる被害者の手がかりなのかよ」
「ああ。目撃証言だと、この路地で消えた人が最後に持っていたって話だ。妙な事件が続いてる。人が消える直前に、必ず金色の丸いパンを見たって」
「パン一つで人が消えるって、物騒な話だよなあ。せめて美味そうなメロンパンならいいけどよ」
一輝は答えず、路地の突き当たりを見据えた。そこに、ひとつの影があった。
黒く厚い前髪、黄緑色の瞳、左の頬から首筋へ走る黒い稲妻状の紋様。深い紺のブレザー、白いシャツ、赤いネクタイ。そして右手には、金色に輝く円いパンが握られていた。少年は灰色の壁にもたれるように立ち、まるで世界の誰も自分を気にしていないかのような、静かな視線で二人を見た。
「いたぞ、バイス」
「お、あのパン野郎か。なんか妙に落ち着いてやがるな」
一輝は半歩だけ前へ出た。少年——Mash Burnedead——は顔を上げもせず、金色のパンをわずかに持ち上げた。
「……あなたたちも、これを狙ってるんですか」
声は低く、平坦で、感情の起伏がなかった。
「俺は五十嵐一輝。こっちは相棒のバイス。この辺りで起きてる失踪事件を追ってる。そのパンは被害者が持っていたものと似てる。話を聞かせてくれ」
Mashは初めて、まっすぐに一輝を見た。黄緑色の瞳に、何の気負いもなかった。
「これは、俺の昼食です」
「昼食」
「勝手に人の食事を事件の証拠にしないでください」
バイスが後ろで「こいつマジかよ」と小さく笑った。一輝は息を吐き、右手を腰のベルトへ伸ばす。リバイスドライバーを構えると、Mashの視線がわずかに動いた。それだけだった。慌てるでも、逃げるでもなく、ただ興味を持ったように、変身の所作を観察していた。
「悪いが、そのパンの出どころを確かめさせてもらう。協力してくれないなら——」
「来るなら、どうぞ」
Mashはパンを胸の前で軽く回し、左手で受け直した。それだけの動作が、異様に滑らかだった。
「変身!」
一輝がドライバーを押し込む。赤と青の光が路地を走り、ティラノサウルスの意匠をまとった装甲が彼の身体を包んだ。仮面ライダーリバイ。同時に、バイスが跳ねるように横へ回り込み、黒とピンクの装甲が組み上がる。仮面ライダーバイス。二人は並び、路地の幅いっぱいに立ち塞がった。
「いくぜ、バイス」
「おうよ。派手にやろうぜ、一輝」
先に動いたのはリバイだった。右足で砂利を蹴り、一直線に踏み込む。拳を突き出す。Mashは動かなかった。拳が届く寸前、彼の上半身が紙一枚ぶんだけ傾く。空気を裂く音が頬の横を通り過ぎた。リバイは即座に左肘を返す。Mashはそれを、持っていたパンを盾のように前に出すだけで受け流した。肘は金色の表面を擦り、軌道が外れる。
「なっ——」
「硬いだろ。焼き加減にこだわったから」
Mashは短く言い、そのままパンを振り抜いた。単純な横薙ぎのはずだった。だがリバイの胸部装甲に触れた瞬間、空気が弾けた。黒い稲妻がパンの縁から迸り、リバイの身体が路地の壁へ吹き飛ぶ。背中の装甲が磚を削り、灰色の粉塵が舞う。
「一輝!」
バイスがオーイングバスター50を構え、斧状の刃で斬りかかる。Mashはパンを左手から右手へ持ち替え、刃の腹をそのパンで受けた。火花が散り、バイスの腕が押し返される。力は互角ではなかった。Mashの細い腕から伝わる圧が、じわじわとバイスを押し込んでいく。
「おいおい、パン一つでこのパワーかよ。俺っち、メロンパンの方がまだ可愛げあると思うぜ」
「メロンパンは好きです。でも、これはただのパンじゃない」
Mashはそう言うと、パンを弧を描くように振った。稲妻が尾を引き、バイスの脚部装甲を浅く裂く。バイスは後ろへ跳び、距離を取った。リバイが壁から身を起こし、二人は並び直す。
「バイス、こいつ——ただの人間じゃない。あの稲妻、パンから出てる」
「見ればわかるっての。でもよ、一輝。あいつ、動きに迷いがねえ。攻撃も受けも、全部最短。まるで戦い慣れてる奴の動きだ」
「ああ。それに、俺たちを殺そうとしてない。追い払おうとしてるだけだ」
その通りだった。Mashの攻撃はどれも、致命へ届く手前で止まっていた。彼は路地の出口を背にし、二人を一定の距離に保ちながら、ただ前へ出ようとするのを阻んでいた。まるで、自分の昼食を守るためだけに戦っているようだった。
「なあ、少年」リバイが歩み寄りながら言った。「そのパン、どこで手に入れた」
「拾いました」
「拾った?」
「ええ。この路地で。落ちていたから、食べようと」
Mashの声には、隠し事の気配がなかった。むしろ、質問される意味が分からないという風だった。一輝の中で、情報の欠片が組み替わっていく。失踪事件。金色のパン。消えた人々。そして、この少年が拾ったという同じ路地。
「バイス、もしかしたら——」
「ああ、俺っちも思った。そのパンが事件の元凶で、こいつは偶然拾っただけかもしれねえ。でもよ、それならなんで消えずに済んでるんだ」
その問いに答えたのは、Mashだった。
「消える? 何の話ですか」
彼は初めて、わずかに眉を寄せた。感情らしきものが、冷たい表情の表面に浮かぶ。一輝はそれを見逃さなかった。この少年は、自分が何に巻き込まれているのかを知らない。知らないまま、ただパンを守っている。
「少年、そのパンは危険かもしれない。俺たちに預けてくれ」
「嫌です」
即答だった。Mashはパンを握り直し、路地の壁に沿って半歩だけ横へ動く。その動きで、彼の背後に小さな影が現れた。路地の奥、壁の窪みの中に、古びた木箱が置かれている。箱の蓋は半開きで、中に同じ金色のパンがいくつも詰まっていた。光を受け、それらは呼吸するように鈍く輝いていた。
「あれは——」
リバイが息を呑む。Mashもそれに気づき、振り返った。だが、遅かった。木箱の中のパンが一斉に膨れ上がり、金色の光を路地全体へ撒き散らす。光は稲妻となって壁を走り、地面を裂いた。空気が軋み、三人の足元がぐらつく。
「まずいぞ、一輝! あの箱、増えてやがる!」
「ああ。パンが原因で間違いない。でも、このままだと路地ごと——」
Mashは木箱へ駆け寄った。その背中に、稲妻が容赦なく襲いかかる。彼はパンを振り、光を打ち払う。だが数が多すぎた。一本が肩をかすめ、ブレザーが焦げる。彼は表情を変えず、しかし確実に追い詰められていた。
「少年、下がれ!」
リバイが叫び、バイスと同時に駆け出す。二人はMashの左右に立ち、オーイングバスター50とリバイの拳で、迫る稲妻を次々と弾いていく。Mashは一瞬、驚いたように二人を見た。守られるとは思っていなかった、という顔だった。
「なぜ」
「決まってるだろ」バイスが笑う。「あんたが悪党かどうかは、まだ分かんねえからな。でも、目の前で誰かが危ねえのに、見て見ぬふりはできねえんだよ、俺っちたちは」
「……そういうものですか」
「そういうもんだ」
三人は背を合わせ、路地の中央で光の奔流に立ち向かった。稲妻は壁を伝い、箱から溢れるパンは数を増していく。一輝はドライバーのレバーを引き、リバイの装甲が赤く発光した。バイスもオーイングバスター50を最大出力へ切り替える。
「バイス、一気にいくぞ!」
「おうよ! あの箱ごとぶっ飛ばす!」
リバイが跳躍し、右足を突き出す。バイスが斧銃を振り上げ、その軌道に稲妻をまとわせる。Mashはその隙に、箱へ左手を伸ばした。彼はパンを一つ掴み取り、それを掲げる。すると、暴走していた光が、彼の手の中へ吸い込まれていく。路地を埋めていた稲妻が、細い一本の線となって収束した。
「——俺の昼食を、勝手に増やすな」
低い声。次の瞬間、Mashは掲げたパンを握り潰した。金色の光が爆ぜ、路地全体が白く染まる。衝撃が壁を揺らし、リバイとバイスは体勢を崩した。Mashはその光の中を、静かに歩いてくる。彼の周囲だけ、稲妻が従順に従っていた。
「あなたたちは、強い。でも、俺には勝てない」
「まだ決まってねえだろ!」
リバイが拳を突き出す。Mashはそれを、空いた右手で受け止めた。装甲越しに、骨の軋む音が伝わる。リバイは歯を食いしばる。だが、力は押し負けていた。Mashの細腕は微動だにしない。
「一輝!」
バイスが横から斧を振る。Mashはそれを、受け止めた右手ごとリバイを押し出し、身体を半回転させてかわす。斧は空を切る。すかさずMashの足がバイスの脛を払い、バイスは砂利の上に倒れ込んだ。
「バイス!」
「ちっ、こいつ——本当に人間かよ」
Mashは二人を見下ろし、静かに言った。
「あなたたちは、人を守るために戦っている。それは分かる。でも、俺はただ、腹が減っているだけです」
その言葉に、リバイは笑いそうになった。だが、笑える状況ではなかった。Mashの周囲の稲妻が、再び大きくなり始めていた。彼が本気を出せば、この路地ごと更地になる。それは直感で分かった。
「……なあ、少年。そのパン、本当に美味いのか」
Mashは一瞬、動きを止めた。
「ええ。悪くないです」
「なら、俺たちが事件を解決したら、一緒にメロンパンでも食わないか。俺の奢りだ」
Mashの黄緑色の瞳が、わずかに揺れた。彼はしばらく黙り、それから小さく息を吐いた。
「……あなたは、変わった人だ」
「よく言われる」
リバイは立ち上がり、バイスに手を貸した。バイスも起き上がる。三人は再び向き合った。だが、さっきまでの殺気は、もうどこにもなかった。路地の奥の木箱は、光を失って崩れかけていた。稲妻も、Mashの周りで静かに消えていく。
「その箱、俺たちが処理する。だから、そのパンは——」
「これは、俺がもらいます。拾ったのは俺ですから」
Mashは金色のパンをポケットにしまい、路地の出口へ歩き出した。リバイとバイスは、それを見送った。彼の背中には、もう稲妻はなかった。
「……行っちまったな」
「ああ。でも、事件の元凶は分かった。あの箱を調べれば、失踪の理由も見つかるはずだ」
「なあ、一輝。あいつ、本当にただの腹ペコだったのかね」
「さあな。でも、悪い奴じゃない。それは確かだ」
二人は崩れた木箱へ近づき、中を検める。金色のパンは、光を失ってただの焼き菓子のように見えた。一輝は一つを拾い上げ、匂いを嗅ぐ。小麦と、ほのかに鉄の匂いがした。
「これは——」
「一輝、後ろ!」
バイスの叫びに、一輝は振り返る。路地の出口、光の中に、Mashが立っていた。彼は戻ってきたのだ。しかも、その手には、さっきの金色のパンではなく——別の、黒く焦げた塊が握られていた。
「……あのパン、やっぱり危険です。俺の腹が、まだ痛い」
Mashは淡々と言い、黒い塊を路地の地面に置いた。それは触れた瞬間、稲妻となって路面を走り、木箱の残骸へ吸い込まれていく。箱は最後の光を放ち、灰になった。
「これで、終わりです」
「お前、自分で——」
「拾ったパンを食べて、少しだけ調子がおかしかった。でも、もう大丈夫です。だから、あなたたちの言う通り、これは危険なものだったんだと思います」
Mashはそう言い、今度こそ路地を出て行った。振り返りもせず、足音も立てず、ただ灰色の街へ溶けていった。リバイとバイスは、灰になった箱と、消え去った少年の背中を交互に見た。
「……なあ、バイス」
「なんだよ」
「あいつ、もしかして最初から全部知ってて、俺たちに始末させたんじゃないか」
「さあな。でも、あいつが最後にやったのは、ちゃんと自分でケリをつけたってことだろ。パン一つで、な」
一輝は小さく笑い、灰を踏んで路地を後にする。事件の核心は、思いがけない形で片付いた。だが、彼の中には、あの冷たい瞳と、静かな「美味しくないです」という声が、しばらく残った。
路地の光が戻り、砂利の上に二人の影が伸びる。バイスは尻尾を揺らし、軽く鼻を鳴らした。
「ま、勝ちは勝ちだよな。俺っちたちが守って、あいつが締めた。悪くない結末だぜ」
「ああ。そうだな」
一輝は空を見上げ、次の事件へ向けて歩き出した。背後では、灰になった箱が風に舞い、灰色の壁に小さな金色の粒を残していた。
記録された結末
この戦いで最後に立っていたのは 五十嵐一輝&バイス/仮面ライダーリバイ&仮面ライダーバイス でした。
この架空の物語は、プレイヤー作成キャラクターと公開バトルをもとに PicWar AI が娯楽目的で生成したものです。この結末を書き換えますか?
五十嵐一輝&バイス/仮面ライダーリバイ&仮面ライダーバイス に挑むヒーローを作ろう。
スケッチや画像から PicWar でヒーローを作り、新しいバトル物語へ送り出しましょう。


