闘技場年代記
五十嵐一輝&バイス/仮面ライダーリバイ&仮面ライダーバイス VS 마작 중독 용팔할배
霧が庭を包んでいた。石畳の隙間から立ちのぼる白い湿気が、築山の輪郭をゆっくりと溶かし、やがて何もかもを同じ灰色の均質な面へと変えていく。五十嵐一輝は、その中に立っていた。デニムジャケットの襟を握るようにして、彼は相手を見つめている。…


登場キャラクター
霧が庭を包んでいた。石畳の隙間から立ちのぼる白い湿気が、築山の輪郭をゆっくりと溶かし、やがて何もかもを同じ灰色の均質な面へと変えていく。五十嵐一輝は、その中に立っていた。デニムジャケットの襟を握るようにして、彼は相手を見つめている。
深い褐色の粗布の外袍をまとい、頭頂に灰白の髪を束ねた老人が、黒ずんだ木の車椅子に腰かけていた。右手の指先には、白い牌が一枚、垂直に挟まれている。表面の黒い条の図柄だけが、この霧の中でただ一つの明瞭な線として浮かんでいた。
「お前さん、待たせたな」
一輝は静かに言った。熱血漢の彼にしては、声が低かった。この庭の空気は、声を大きくすることを許さない。老人はまばたき一つせず、ただ低く、息の混じった声で答えた。
「若い衆よ。あんたの歩幅で、もう三歩、こっちへ寄っておる。無駄なことだ」
「……なんだと?」
「わしは牌を一枚、持っておる。あんたは拳を二つ、持っておる。数ならあんたが上だ。だがの、この庭では、数は力にならん」
一輝の眉が、わずかに跳ねた。彼は前に出ようとして、片足をわずかに浮かせた。その瞬間、老人の右手が、ことり、と牌を車椅子の肘掛けに打ち付けた。乾いた、小さな音。しかしその音は、霧の中を異様に遠くまで届き、一輝の耳の奥で反響した。
「そこだ」
老人の言葉は、すでに結果を語っていた。一輝は足を下ろした。彼が下ろした場所は、苔むした飛び石の端、ほんの数センチのずれだった。しかしその数センチのずれの先に、彼は見た。石の隙間から伸びる、細い、しかし確かな蔦の張力線。もしそのまま踏み込んでいれば、足首を取られ、体勢を崩していただろう。
一輝は唾を飲んだ。この老人は、彼の動きを読んでいる。いや、読むというより、彼の動きが起きる前の、その予兆の段階で、すでに配置を変えている。
「俺っちの出番か? 一輝」
内側から、軽快な声が響いた。一輝の背中の奥、悪魔の気配がざわめく。バイスだ。彼の相棒。黒いボディに尖った耳、青い複眼、長い尻尾を持つ悪魔が、一輝の意識の内側で笑っている。
「ああ、バイス。こいつは、普通のじいさんじゃない」
「見りゃわかるぜ。あの牌、ただの飾りじゃねえ。あれで俺たちの動き、全部先回りしてやがる」
「だろうな。だから、まずは」
一輝は、片手を前に出した。掌を開き、相手に見せる。降参の仕草ではない。交渉の仕草だ。
「じいさん。あんた、何が目的だ」
老人は、初めて、ゆっくりとまばたきをした。皺の奥の目が、一輝を貫く。
「目的? 若い衆、この庭に来た時点で、目的など決まっておる。わしはあんたと、一局、打ちたいだけだ」
「一局?」
「そうだ。あんたが動けば、わしが読む。わしが読めば、あんたは止まる。止まれば、また動きたくなる。その繰り返しの中で、どちらが先に、己の形を崩すか。それを、見たい」
一輝は、拳を握った。だが、すぐには動かなかった。彼は悟っていた。この老人との戦いは、速さや力ではない。呼吸と、間合いと、そして「待つ」という行為の質だ。
「一輝、あのじいさん、わざと隙を見せてるぜ。左側、車椅子の車輪のとこ。あそこ、苔が剥がれてる。動きやすいように見える。でもな、あれは罠だ。あの牌の持ち方、左に重心が寄ってる。あそこに飛び込んだ瞬間、読まれる」
「わかってる。だから、俺は行かない」
「お? 珍しいな、一輝が我慢するなんて」
「あんたが言ったんだろ。重要な場面では、頼りになると」
バイスが、内側で小さく笑った。悪魔の笑みだが、その声には、確かな信頼が混じっていた。
一輝は、動かなかった。三秒。五秒。十秒。老人の牌を持つ指が、わずかに震えた。年齢のせいではない。彼は、一輝が動くことを前提に、すでに次の配置を組み立てていた。動かなければ、その配置は空転する。
老人の口元が、初めて、微かに動いた。
「……ほう。若い衆、なかなかやるのう」
「あんたが読みたがってるなら、読ませない方が、俺の得だ」
「ふ。だがの、読ませないという選択も、また一つの手だ。わしはそれを読んでおる」
老人の左手が、車椅子の肘掛けから、ほんの少し浮いた。その瞬間、庭の霧が、異様に濃くなった。一輝の視界が、白に塗り潰される。音が消える。自分の呼吸だけが、やけに大きく響く。
「一輝! 足元!」
バイスの警告と同時に、一輝は跳んだ。彼が立っていた石畳が、内側から割れた。まるで、牌を打ち付けた衝撃が、地を伝って到達したかのように。一輝は空中で体をひねり、着地した。だが、着地した先の石も、すでにひび割れていた。
「くそっ、地そのものが盤面か!」
老人は動かない。車椅子に座ったまま、右手の牌を、ただ見ている。しかしその牌の角度が、わずかに変わった。一輝はそれを見た。角度が変わった方向——それは、彼の次の着地点を示していた。
「読ませるか、読ませないか。若い衆、あんたは今、どっちを選んだ?」
一輝は、歯を食いしばった。彼は選択を迫られていた。動けば読まれる。動かなければ、地が壊れる。この庭全体が、老人の掌の上にある。
「バイス」
「おう」
「変身する。一気に、間合いの外から、内側へ」
「待ってたぜ! いくぞ、一輝!」
一輝は、リバイスドライバーを腰に当てた。スタンプを押し込む。光が、霧を裂いた。
「変身!」
「変身!」
二つの声が重なった。五十嵐一輝の体が、ティラノサウルスの意匠をまとう。ピンクとスカイブルーの装甲。仮面ライダーリバイ。そして、その影から、黒とピンクの悪魔が跳び出した。仮面ライダーバイス。斧銃「オーイングバスター50」を手に、長い尻尾を揺らしている。
「さあ、じいさん。今度はこっちから行くぜ!」
バイスが、霧の中を一跳びした。その瞬間、老人の右手が、牌を打ち付けた。ことり。
「そこだ」
バイスの着地点が、内側から崩れた。しかしバイスは、すでにそこにいなかった。尻尾を地面に叩きつけ、その反動で軌道を変えたのだ。
「おっと! 読まれる前提で動くのが、俺っちの流儀よ!」
一輝——リバイも、同時に動いた。左から右へ、弧を描いて接近する。老人の目が、二つの動きを追う。右手が、再び牌を打ち付ける。ことり。ことり。二つの音が、連続して響く。
「二つ同時は、読めまい!」
一輝は叫んだ。しかし、老人の口元が、ほんの少しだけ緩んだ。
「読む必要は、ない」
老人の左手が、ついに、完全に肘掛けから離れた。その手が、膝の上の小さな盆を、静かに押した。盆の上には、いくつもの牌が、すでに並べられていた。それは、この庭の配置そのものだった。石、築山、蔦、苔、霧。すべてが、牌の一枚一枚として、初めから置かれていたのだ。
「わしは、この庭と、すでに一局を打っておる。あんたらは、その盤面に、今、入ってきただけのことよ」
一輝は、その言葉の意味を、体で理解した。彼が跳んだ瞬間、足元の石が動いた。いや、動いたのではなく、初めから、彼の重みで崩れるように、配置されていた。彼が攻撃を放とうとした瞬間、その軌道上に、霧が濃く立ちこめた。視界が奪われ、狙いが逸れる。
「なんだよ、これ……最初から、全部決まってたのかよ!」
バイスが、叫んだ。しかし、一輝は、首を横に振った。
「違う。決まってたんじゃない。じいさんが、俺たちの動きに合わせて、庭を、少しずつ組み替えてたんだ。気づいた時には、もう、俺たちの動き全部が、この庭の形に組み込まれてた」
老人は、静かにうなずいた。
「その通りだ。若い衆。わしの手は、一つ。牌は、一枚。だが、その一枚で、盤面は無限に変わる。あんたの熱は、あんたの速さは、この庭の一部になった」
一輝は、拳を握った。彼は、熱血漢だった。頼れる長男気質。だが、ここで、ただ熱を通せば、それは庭に吸い込まれるだけだ。彼は、一度、深く息を吐いた。
「バイス」
「なんだよ」
「一回、引く」
「は? 引くって、この状況で?」
「ああ。俺たちが動けば動くほど、この庭はじいさんのものになる。なら、俺たちが動かなければ、庭は、じいさんのものにならない」
バイスは、一瞬、沈黙した。それから、尻尾を振った。
「……なるほどな。動かないことで、盤面を止めるってわけか。一輝、お前、たまにいいこと言うな」
「たまに、余計だ」
二人は、後退した。一歩。また一歩。老人の目が、初めて、わずかに見開かれた。彼にとって、動かれること、読まれることは、想定内だった。しかし、退かれることは——それは、彼の組み立てた配置から、相手が自らの意思で降りることだった。盤面を放棄する。それは、老人の計算の外側にあった。
「若い衆……なぜ、退く」
「あんたの庭で打たない。それだけだ」
一輝の声は、静かだった。彼は、退きながら、周囲を観察していた。庭の端、崩れかけた石垣の向こう。霧の薄い一角。そこだけ、空気の流れが違う。風が、外から入ってきている。この庭は、閉じているようで、開いている。老人が組み立てた盤面の外に、まだ、世界があった。
「バイス、あっちだ。あの石垣の向こう」
「おう。あそこだけ、じいさんの牌が置いてねえ。手つかずの場所だ」
二人は、石垣へと退いた。老人の右手が、わずかに動いた。牌を打ち付けようとして、止まった。その位置には、まだ、牌がなく、彼の手が、届かない。距離。老人の車椅子は、この庭の中央から動かない。彼の支配は、この庭の内側に限られていた。
「……見つけたか。若い衆」
「あんたの庭は、ここまでだ。俺たちは、外に出る」
一輝は、石垣に手をかけた。その瞬間、老人の左手が、膝の盆を、そっと横にずらした。牌の配置が、変わる。しかし、一輝はもう、それを見ていなかった。彼は、石垣を越えた。バイスも続く。
庭の外は、霧がなく、乾いた土と、まっすぐに伸びる杉並木があった。風が、前から吹いていた。一輝は、深く息を吸った。
「ここなら、じいさんの音は届かない」
「だな。……でもよ、一輝。あのじいさん、このまま、追ってこねえのか?」
一輝は、振り返った。石垣の向こうに、老人の車椅子が、まだ見える。彼は、動かなかった。動けなかった。車椅子は、庭の外へは出られない。しかし、老人の右手は、まだ、牌を握っていた。
「いいや。追ってくるさ。……牌を、もう一枚、持ってる限りな」
老人の声が、霧の向こうから、届いた。低く、ゆっくりと。
「若い衆。あんたは、盤面を捨てた。賢い。だがの、盤面を捨てたということは、あんた自身が、どこにも属さないということだ。属さない者は、いつでも、誰かの盤面に、拾われるぞ」
一輝は、拳を握った。しかし、彼は、もう、迷わなかった。彼は、杉並木の方を向いた。そして、バイスに言った。
「バイス。あのじいさんの牌、一枚だけだ。あれを、俺たちの手で、打ち返す」
「どうやるんだよ?」
「あのじいさんの強さは、相手の動きを読むことにある。なら、俺たちは、読めない動きをするんじゃない。読んだ上で、その先に行く」
一輝は、リバイスドライバーに手を触れた。もう一度、変身の光を纏う。彼は、石垣の前に、戻った。老人の目が、彼を捉える。
「戻ってきたか」
「ああ。あんたの庭で打つんじゃない。ここから、あんたの牌を、打ち返す」
一輝は、前に出た。一歩。老人の右手が、牌を握る。しかし、一輝は、止まらなかった。彼は、老人の読みのさらに先——老人が牌を打ち付けるその瞬間の、わずかな指の動きを、見ていた。牌の角度。打ち付けるリズム。それは、この庭に合わせた、老人の癖だった。
「あんたは、この庭のために打つ。だから、この庭の外に立てば、あんたのリズムは、一拍、遅れる」
一輝は、走った。老人の右手が、牌を打ち付けた。ことり。しかし、その音は、一輝の動きに、もう追いついていなかった。一輝は、石畳を踏み、地を蹴り、老人の車椅子の正面へと迫った。
「レックススタンピングフィニッシュ!」
バイスの声が、空を裂いた。悪魔の脚が、鋭く弧を描く。リバイの拳が、突き出される。老人は、右手の牌を、最後に、もう一度だけ、打ち付けた。ことり。
しかし、その音は、一輝の拳の勢いに、かき消された。
「……見事」
老人は、静かに、そう言った。そして、握っていた牌を、膝の上に、そっと置いた。牌は、倒れ、盆の上に、滑り落ちた。
一輝は、拳を止めた。彼の拳は、老人の目前で、止まっていた。それは、攻撃ではなかった。それは、確認だった。老人の盤面が、もう、動かないことを。
「……あんたの負けだ。じいさん」
老人は、ゆっくりと、まばたきをした。彼の口元に、微かな笑みが浮かんだ。
「わしは、この庭で、一度も負けたことがない。だがの、庭の外に出た相手に、初めて、負けた。……いい一局だった」
霧が、晴れ始めていた。築山の輪郭が、戻ってくる。石畳の苔の緑が、色を取り戻す。老人の車椅子は、まだ、庭の中央にあった。彼は、動かなかった。動けなかった。しかし、その顔には、敗北の悔しさよりも、静かな満足が、浮かんでいた。
一輝は、変身を解いた。デニムジャケットの青年に戻る。バイスも、彼の内側へと、戻っていった。
「一輝、勝ったな」
「ああ。……でも、あれは、俺たちが強かったんじゃない」
「は?」
「あのじいさんが、俺たちの選択を、待ってたんだ。俺たちが、盤面を捨てるかどうか。それを、試してた。……だから、勝ったのは、俺たちの選択だ」
バイスは、黙った。それから、小さく笑った。
「お前、たまに、いいこと言うな」
「だから、たまに、余計だ」
一輝は、老人に向き直った。彼は、深く、頭を下げた。
「あんたの庭は、強かった。……また、来る」
老人は、もう、答えなかった。彼は、膝の上の牌を、一枚、拾い上げた。そして、霧の晴れた空を、静かに見上げた。
その姿は、まるで、次の一局を、すでに、どこかで打ち始めているかのようだった。
記録された結末
この戦いで最後に立っていたのは 五十嵐一輝&バイス/仮面ライダーリバイ&仮面ライダーバイス でした。
この架空の物語は、プレイヤー作成キャラクターと公開バトルをもとに PicWar AI が娯楽目的で生成したものです。この結末を書き換えますか?
五十嵐一輝&バイス/仮面ライダーリバイ&仮面ライダーバイス に挑むヒーローを作ろう。
スケッチや画像から PicWar でヒーローを作り、新しいバトル物語へ送り出しましょう。


