闘技場年代記
照井竜/仮面ライダーアクセル VS SAVAGExANGEL
夜の風都、その高層ビルの谷間を縫うように、赤い機体が疾走していた。 照井竜はアクセルへと変身したまま、エンジンブレードの重さを右腕に感じていた。二十キロの鋼鉄が、速度に馴染むにつれて羽のように軽くなる。排気の熱が背中の推進器から漏れ、アスファルトの継ぎ目を踏むたび、火花が跳ねた。 「——この時間帯に、あんな場所で優雅に酒を煽っている女がいるとはな」…


登場キャラクター
夜の風都、その高層ビルの谷間を縫うように、赤い機体が疾走していた。
照井竜はアクセルへと変身したまま、エンジンブレードの重さを右腕に感じていた。二十キロの鋼鉄が、速度に馴染むにつれて羽のように軽くなる。排気の熱が背中の推進器から漏れ、アスファルトの継ぎ目を踏むたび、火花が跳ねた。
「——この時間帯に、あんな場所で優雅に酒を煽っている女がいるとはな」
通信越しに届いた通報は簡素だった。超高層ホテルの最上階ラウンジ、夜の帳に帝国大厦の輪郭が浮かぶ窓辺に、黒いドレスの女と巨大な獒犬がいる。民間人からの苦情が三件、いずれも「犬が人を威圧している」という内容だった。
だが照井は知っていた。ただの苦情で、彼を呼び出すはずがない。超常犯罪搜查課が動くとき、そこには必ず「異常」がある。
ホテルの正面玄関を蹴破るようにして、アクセルは内部へと侵入した。大理石の床が赤い装甲の照り返しを受けて、血のように濡れて見えた。エレベーターは使わない。非常階段を、一段飛ばしで駆け上がる。五十階分の階段を、彼は十五秒で踏破した。
最上階への扉を開けた瞬間、空気が変わった。
香水の匂いと、獣の匂いが混ざり合っている。琥珀色の照明の中、窓辺に立つ影があった。深い茶色の長い巻き毛に、ピンクのメッシュが混じる。黒い深いV字のドレス、高く裂けたスリットから伸びる脚。肩には黒い毛皮のストール。手にしたグラスからは、浅い色の液体が湯気を立てている。
SAVAGExANGEL——その名の通り、彼女は天使の貌と、野獣の気配を纏っていた。
「あら。警察にしては、随分と速いのね」
彼女は振り返りもせず、窓の外の夜景を見つめたまま言った。その足元、絨毯の上に、巨大な浅褐色の獒犬が伏せている。首には金属の鋲と狼の頭の徽章がついた、分厚い革の首輪と胸当て。犬はアクセルが入ってきた瞬間、低く唸り、ゆっくりと頭を上げた。
「風都署、超常犯罪搜查課。照井竜だ」とアクセルは名乗った。「その犬を、君の傍から離せ。話を聞きたい」
「話?」SAVAGExANGELはようやく振り返り、首を傾けた。艶やかな唇が、玩ぶような弧を描く。「この子はね、私の大切なパートナーよ。離すわけにはいかないわ。それに——」
彼女はグラスを揺らし、湯気の向こうからアクセルを見据えた。
「あなたの方こそ、その恰好で来たということは、最初から話し合う気なんてないのでしょう?」
その言葉が終わるより早く、獒犬が動いた。
伏せていた姿勢から、爆発的な瞬発力で飛び出した。体重は百キロを優に超えるだろう。だが速度は、その巨躯に似合わぬ俊敏さを備えていた。獣の突進が、大理石の床を爪で削りながらアクセルへと迫る。
「——速い」
アクセルは右に流れた。エンジンブレードを盾のように構え、犬の牙を受け止める。金属と牙がぶつかり、耳障りな音がラウンジに響き渡った。犬はすぐに後退し、距離を取る。賢い。無駄に突っ込まない。
「いい子ね、マスティフ」とSAVAGExANGELは囁くように言った。「彼、速いみたいだから、ちゃんと見ててあげて」
彼女は動かない。窓辺に立ち、グラスを傾けるだけ。だがその視線は、アクセルの動きのすべてを追っていた。
照井は悟った。この女は、戦わない。戦わせるのだ。自分の手を汚さず、獣と、そして場の空気そのものを武器にする。豪奢なラウンジの絨毯は足を取られやすく、ソファやテーブルが機動を阻害する。犬はその障害物を熟知しているかのように、家具の合間を縫って動く。
「——舐めるなよ」
アクセルはエンジンブレードを一閃させた。ソファを両断し、テーブルを粉砕しながら、獣へと斬り込む。犬は後ろへ跳び、破片をひらりとかわす。その隙に、アクセルは一気に距離を詰め、SAVAGExANGELへと迫った。
「指揮官を潰せば、獣も止まる」
その判断は正しかった。だが、彼女は微笑んだまま、動じなかった。
「Leash & Hand」
彼女が呟いた瞬間、アクセルの視界が歪んだ。
獣が横から飛び込み、アクセルのエンジンブレードの柄に牙を立てた。その力は、単なる噛みつきではなかった。アクセルが前へと踏み出した勢いを、犬が首を振ることで横へと流したのだ。二十キロの刃を振り抜く遠心力が、そのまま身体ごとアクセルを回転させる。彼は体勢を崩し、窓へと背を向ける形になった。
そしてSAVAGExANGELが、初めて自ら動いた。
一歩、二歩。ヒールが床を鳴らす。彼女はアクセルの身体の横を通り過ぎざま、手袋に包まれた指先で、彼の背中の推進器を軽く叩いた。
「あなたの力、もらいましょう」
その瞬間、犬が再びアクセルの刃に噛みつき、今度は逆方向へと引いた。振り回されたアクセルの身体が、窓ガラスへと叩きつけられる。強化ガラスが蜘蛛の巣状にひび割れるが、割れない。だが、彼の体勢は完全に崩れていた。
「——なるほど」とアクセルは低く唸った。「獣と女、二人がかりで、俺の勢いを利用するか」
「その通りよ」SAVAGExANGELは優雅にグラスを置いた。「あなたは速い。強い。だからこそ、その力は、あなた自身を傷つける刃になる。この子と私、どちらか一方だけを相手にしていると思ったら、大間違いよ」
犬が唸る。女が笑う。二人は常に連携している。犬が正面から圧をかけ、女が死角から流れを作る。まるで、見えない鎖でつながれているかのようだった。
照井は壁に手をつき、ゆっくりと立ち上がった。装甲のあちこちに、ひびが入っている。だが、彼の青い複眼は、まだ曇っていない。
「——一つ、聞いていいか」
「何かしら」
「その犬、名前はあるのか」
SAVAGExANGELは一瞬、虚を突かれたように目を細めた。その隙を、アクセルは見逃さなかった。
彼はエンジンブレードを逆手に持ち替え、床へと突き刺した。金属の刃が大理石を貫き、粉塵が舞う。同時に、彼は背中の推進器を全開にした。だが、前へ進むためではない。後ろ——窓へと向かって、自らの身体を射出したのだ。
「——ッ!」
SAVAGExANGELが反応したときには、アクセルはもう窓の外へと身体を投げ出していた。五十階の高さから、夜の闇へと落下する。だが、彼は落下しながら、背中の推進器を再点火させ、そのままホテルの壁面を蹴って、水平へと軌道を変えた。
「あの高さから……!」とSAVAGExANGELが初めて声を上げた。
アクセルはホテルの外壁を走り、一気に別の窓へと回り込んだ。先ほどまで女と犬がいたラウンジの、ちょうど反対側。彼はエンジンブレードを振り抜き、外側から窓ガラスを粉砕した。飛び散る破片の中、赤い機体が再び室内へと突入する。
だが、彼の狙いは女ではなかった。
床に突き刺したエンジンブレード——その柄に、あらかじめ仕込んでいたワイヤーが、犬の首輪の金具に絡みついていたのだ。彼が窓の外へ飛び出した瞬間、ワイヤーが張り、犬の身体が床へと引き倒されていた。
「——っ、この子を!」
SAVAGExANGELが駆け寄ろうとした瞬間、アクセルは着地と同時にワイヤーを強く引いた。百キロの獣が、ずるずると床を滑る。彼女は手を伸ばしたが、届かない。
「お前の戦い方は、すべてこの犬が前提だ」とアクセルは言った。エンジンブレードを床から引き抜き、その切っ先を犬へと向ける。「この犬を封じれば、お前は何もできない」
「——それを、私が許すとでも?」
SAVAGExANGELの声が、初めて冷たく硬くなった。彼女は毛皮のストールを床に落とし、両手の手袋を握り締めた。だが、彼女自身の戦闘力は、犬ほどではない。彼女ができるのは、犬を指揮すること。そして、場を支配すること。
だが、その場は、もうアクセルの手中にあった。
「Leash & Hand」——それは、相手の勢いを流し、支配する技。だが、アクセルはその逆をやった。自分の勢いを捨て、犬を縛り、女の支えを断ったのだ。
「お前は言ったな。俺の力は、俺自身を傷つける刃になると」アクセルはゆっくりと立ち上がり、エンジンブレードを構えた。「ならば、その刃を、お前たちに向けるだけだ」
犬はまだワイヤーに絡まれ、もがいている。首輪の金具が軋み、今にも外れそうだが、あと数秒は稼げる。その数秒で、決める。
アクセルはSAVAGExANGELへと踏み込んだ。彼女は後退しようとしたが、背は窓。逃げ場はない。
「——諦めなさい、と言うべきかしら」と彼女は、まだ笑みを浮かべていた。「あなたが私を倒しても、この子はあなたを許さない。どこまでも追いかけるわ」
「構わん」
アクセルはエンジンブレードを振り上げた。その一撃は、彼女を斬るためではない。彼女の背後、粉砕された窓の枠へと向かって、刃を振り抜いたのだ。衝撃で、残っていたガラスがすべて吹き飛ぶ。夜風がラウンジに流れ込み、カーテンが激しくなびいた。
「——今夜の主役は、お前じゃない」
アクセルは刃を横に払い、SAVAGExANGELの身体を窓の外へと押し出した。彼女は悲鳴を上げず、ただ、夜の闇へと落ちていった。だが、その下には、彼女が乗ってきたリムジンと、待機していた私設警備の車列があった。彼女は彼らの上へと落ち、クッションのように受け止められる。命はない。
「……ふ、優しいのね」と彼女は下から呟いたが、アクセルには届かなかった。
残るは、犬。
ワイヤーを振りほどいた獒犬が、低い唸りを上げてアクセルへと向き直った。主を失い、それでも戦う意思を失っていない。その瞳には、野獣の誇りがあった。
「——お前も、来るか」とアクセルは言った。「だが、もう遅い」
彼はエンジンブレードを構え、背中の推進器を唸らせた。犬が飛びかかる。アクセルはそれを迎え撃ち、刃を横一文字に振り抜いた。だが、斬らない。刃の腹で犬の身体を受け止め、そのまま回転し、勢いを殺して床へと押し付けた。
「——終わりだ」
犬はもがいたが、二十キロの刃の重みと、アクセルの体重が、それを許さなかった。やがて、獣は抵抗を止め、項垂れた。
照井竜は変身を解除した。赤い装甲が光の粒子となって消え、中から、赤いジャケットを着た男が現れる。彼は荒い息をつきながら、倒れた犬の首輪を外し、床に置いた。
「……風都署に連行する。二人ともな」
夜が明ける。ホテルのラウンジには、砕けたガラスと、破壊された家具、そして、静かに横たわる獒犬だけが残された。窓の外には、帝国大厦の輪郭が、まだ薄暗い空に浮かんでいた。
照井はポケットから小さな手帳を取り出し、日付と、簡単なメモを書き込んだ。『SAVAGExANGEL、確保。犬、保護』——それだけ書いて、手帳を閉じる。
「——次は、もっとマシな戦い方をしろよ」
誰にともなく呟いて、彼はエレベーターへと歩き出した。非常階段を使う気には、もうならなかった。
記録された結末
この戦いで最後に立っていたのは 照井竜/仮面ライダーアクセル でした。
この架空の物語は、プレイヤー作成キャラクターと公開バトルをもとに PicWar AI が娯楽目的で生成したものです。この結末を書き換えますか?
照井竜/仮面ライダーアクセル に挑むヒーローを作ろう。
スケッチや画像から PicWar でヒーローを作り、新しいバトル物語へ送り出しましょう。


